プロ野球において、選手が球団からドラフト指名を受けることで最初に手にするのが契約金である。この契約金は、高卒、大卒、社会人を問わず、ドラフトで指名される選手全員に与えられるものであり、プロ入りに向けた重要なステップとなる。契約金は選手にとって一種の入団ボーナスのような役割を果たし、彼らがプロの世界で生活基盤を確立するための大切な資金となる。この資金は、家族の支援や住居の確保、さらには将来の備えとして使われることが多い。
契約金が支払われた後に、次に決定されるのが年俸である。年俸は、選手の実力や期待値に応じて決められるが、一般的にドラフトでの順位が高い選手ほど、その年俸も高くなる傾向がある。これは、球団が上位指名を行う選手に対して、即戦力としての期待や将来的なスター選手としての可能性を見込んでいるためである。上位指名の選手は、その期待に応えるべく、年俸が高く設定されることが多いが、それには常に成果が求められる。
一方で、下位指名の選手は年俸が比較的低く設定されることが一般的であるが、その分、球団からの期待は成長を見守るという長期的な視点が強く働く場合がある。これにより、下位指名の選手もプロの世界で着実に実力をつけ、次第に年俸が上昇するケースも少なくない。年俸の決定には様々な要素が影響し、契約金とは異なり、プロ入り後の実績が反映されることが多い。特に、新人選手の場合、デビューシーズンでの活躍が翌年の年俸に大きく影響を与える。
また、ドラフトの順位が高いほど、選手のプレッシャーも相応に大きくなる。上位指名の選手は、即戦力としてチームに貢献することが求められるため、初年度からの成績が重要視される。期待に応えることができれば、その分翌年の年俸が大幅にアップする可能性も高いが、逆に期待外れの成績に終わった場合は、厳しい評価が待っている。このプレッシャーとの戦いが、プロ選手としての第一歩であり、ここでの結果がその後のキャリアに大きく影響する。
ラフト制度では、選手の将来性やポテンシャルも年俸に反映される。球団は、選手の成長曲線や将来的なパフォーマンスを予測しながら、年俸を設定することが多い。そのため、ドラフトで高順位で指名された選手は、実力だけでなく、その可能性も評価されているといえる。これにより、年俸の高さが選手への期待値の表れとなり、逆に言えば、その期待に応えるための責任がのしかかることになる。
高卒、大卒、社会人いずれの選手でも、プロ入りのタイミングによって年俸の決定には違いがある。例えば、高卒の選手はまだ身体的にも成長段階にあるため、年俸は大卒や社会人の即戦力と比べると低めに設定されることが多い。しかし、その後の数年間で急成長を遂げる可能性があるため、球団は慎重に選手の成長を見守りながら年俸を調整していく。一方、大卒や社会人の選手は、即戦力として期待されるため、初年度から比較的高い年俸が設定される傾向にある。これは、彼らがすでに一定の経験や技術を持っているためであり、プロの世界で即座に結果を求められるからである。